若年性癌学会(イタリア、ベルガモ)

私がプログラム委員と座長を務めたヨーロッパ癌研究学会(EACR)とMark財団の共同主催の若年性癌学会(11月11日から13日)(イタリアのベルガモで開催)が大成功を収めました。
若年性癌の増加は世界的な問題となっており、その原因の究明と対策が求められています。近現代の我々の社会での数十年にもわたる持続的な環境変化が密接に関わっていると考えられており、個人レベルで言えば、出生時、あるいは出生以前から成人期に至るまでの長期的な様々な環境因子が原因である可能性が高いため、容易な解決方法はないように思われます。そのような中で、今回の学会では参加者が、様々な最新の知見を持ち寄って活発な議論が行われました。
私の基調講演では、大規模前向きコホート研究に腫瘍組織解析を統合した、PCIBM(前向きコホート内発生腫瘍バイオバンク手法)を使った分子病理疫学の最新の知見を発表しましたが、論文発表前であるため、詳細は論文発表後に書きたいと思います。
PCIBMについては先日、Lancet Regional Health Americasの論文にその概念を詳しく展開しました。
https://www.thelancet.com/journals/lanam/article/PIIS2667-193X(25)00301-1/fulltext
PCIBMを若年性癌研究に応用する詳しい方法論も論文にしてEuropean Journal of Epidemiologyに出版したところです。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41144114/
この若年性癌問題を解決するためには、幅広い専門家がその知恵を結集する必要があると、さらに痛感されました。
最近になって、日本でもこの問題が徐々に認識されつつあります。日本ではアメリカに比べると健康的な食生活を送っている人が相対的には多いとは思われますが、問題となるのは、砂糖・甘味料の毒性の非認識、夜の明るすぎる照明・光の毒性、サーカディアンリズム異常・睡眠異常(異常とまったく認識されてませんが、毎日真夜中に就寝すること自体が人類史上では異常です。21時や22時にTVやスマホの画面を見ることが人類史上では異常です。しかも子供まで。赤ん坊も明るすぎる照明に夜でも曝露しています。)、口腔内不衛生の問題、食品添加物(規制が緩い)が5大問題といっていいでしょう。これらの悪影響が幼少期から長期間に渡って継続することで、無症状の前病気段階を起こし、さらに種々の若年性慢性疾患を引き起こします、ます。詳しくはまた別の機会に述べることにしましょう。