利根川進教授追悼

先日、MITの利根川進教授がご逝去されました。
利根川先生が初めて免疫グロブリン遺伝子組み換えを発見されてからちょうど今年で50年です。この発見に関する最初の論文(https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.73.10.3628)が1976年に米国科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences USA)に出版されました。この世紀の発見から数年後、私は子供ながら遺伝子が組み変わるということを知ってものすごく興奮したのを覚えています(もちろん原著論文は読めませんでしたが)。遺伝子が組み変わるというのは当時常識ではとんでもないことのように思われていたのです。まさしくこれこそブレイクスルーといっていいでしょう。
科学において常識を疑うことの重要性を改めて感じざるを得ません。
この偉大な発見に対する驚きも大いに影響して、私は生物学医学系の分野を志し、現在に至っています。幸い運よく、ボストンで仕事を得てから今年で25年間も非常に面白い研究生活を送らせていただいています。そのことについてはこのブログで「ハーバード大学での仕事」という新シリーズを始める予定です。
この発見から50年後の現在でも、リンパ腫とリンパ性白血病診断のための免疫グロブリン遺伝子IGHとT細胞レセプター遺伝子TRGの遺伝子組み換え分子診断検査の業務を私はブリガムアンドウィメンズ病院で行っています(上図)。
この分子検査をするたびにいつも利根川先生の偉大な発見を思わずにはおれません。生前は日本総領事館のパーティーで一度お会いできたきりでしたが、それも幸運の一つと言えましょう。
実は利根川進先生は9月に今年度のボストン日本人研究者交流会での基調講演をすることを数ヶ月前に引き受けてくださり、我々後進の研究者にとって貴重な機会となるはずでしたが、これはかなわぬこととなりました。私はボストン日本人研究者交流会のアドバイザーを務めておりますので、先延ばしにしていたお礼メールをつい先日、利根川先生に送ったところでした。
改めて利根川進先生のご冥福をお祈りいたします。