イギリス2(がん・グランド・チャレンジ・サミット2023)

今回のイギリスへの出張の目的はロンドンでのNational Cancer Institute(NCI)/ Cancer Research UK (CRUK) Cancer Grand Challenge サミットへの参加でした。

CRUK自体は2002年設立ですが、古くは120年前、1902年設立のthe Imperial Cancer Research Fundまで遡ることのできる由緒ある団体のようです。寄付やイギリス各地にあるサテライトショップ(写真はケンブリッジで見つけたもの)の売り上げなどを癌研究にファンディングしています。

CRUK Grand Challengeというのは、癌研究の極めて困難な課題を解決するためにプロジェクトチーム当たり約33億円(5年間)もの資金を交付するというグラント(研究費)・システムです。現在3ラウンド目に入っています。私の属するチームOPTIMISTICCはアメリカ、イギリス、カナダ、オランダ、スペインの国際合同チームで、癌における腸内微生物の役割の解明を掲げ、で総数130チームにも上る応募のなか研究費を獲得できる3チームの1つに第2ラウンド選ばれました。

2019年にこのグラントを獲得してから基本的に一年に一度イギリスかアメリカで行われるサミットに参加してきました。1回目はお城で有名なウィンザーで行われましたが、パンデミックの影響で2020年の2回目からはオンラインになってしまいました。2022年はワシントンで、そして今年はロンドンのロンドン塔近くで行われています。普段は分野が違い交流することができない他のチームのトップクラスの研究者との交流が行われ、以前はウインザーのお城の中、今年はロンドン塔の中といったなかなか訪れる機会のないような場所でのディナーなども企画にあり、毎年いろいろな意味での刺激をもらい、本当に参加させてもらって良かったと思います。イギリスという国の力を感じます。

少し前になりますが、去年我々の研究室からネイチャー・レビュー(臨床癌科学)誌に発表した若年性癌全般の増加傾向についての総説についても(過去記事)先日、我々の研究室のインストラクターに昇進した鵜飼博士とともに、CRUKのウェブサイトで特集していただくことができました。日本では他の先進国と違って若年性癌の増加が控えめである理由が健康的な日本食にあるのではないかという考察も載せていただきました。

https://news.cancerresearchuk.org/2023/01/24/early-onset-cancer-why-are-more-young-adults-being-diagnosed/

このサミットは、一年間の研究成果に関するレビューも兼ねており、研究責任者として私も発表させていただきました。チームでリハーサルをしたり、少し緊張感もありましたが無事に終えることができました。来年度は5年目でありますが、研究を頑張っていきたいです。

(写真は大英博物館で撮影した、我が心の師、マルクス・アウレリウスとの一枚です!)

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