将棋が世界にもし普及したら?

今日は閑話休題ということで、久しぶりに趣味の将棋の話です。敬称略とさせて頂きます。

将棋界もそろそろ年度末です。

今年度は渡辺明棋王・王将が2冠に復帰し、圧巻のB級リーグ全勝という成績でA級復帰も決めました。今年度の連勝記録もありますし、勝率も現時点では8割近くで、彼の対戦相手を考えるとありえないほど異常な高勝率なので、おそらく今年度の最優秀棋士賞の最有力候補ではないかと勝手に想像してます。

前の記事に書きましたが、誕生日が私と1日違いで将棋の鋭さにも感動してますので、一ファンとしてそう願っています。

私は渡辺2冠の他にも好きな棋士は結構いますが、特に捌きのアーティストである久保利明9段や光速の寄せで有名な谷川浩司永世名人有資格者のファンでもあります。関西出身なのでどちらかというと関西棋士びいきです。

最優秀棋士賞候補の対抗馬はやはり2冠で、名人戦挑戦を決め3冠を目指す豊島将之棋聖・王位もかなり有力と見ます。

私は趣味で将棋を指すだけでなく、将棋の世界普及を本気で目指しています。

アメリカ在住24年で将棋の相手探しに苦労している私にとって将棋の世界普及は大きな夢です。

おそらく将棋ほど、日本国内での話題性と日本国外の世界における話題性とで差があるものは少ないのではないかと思います。日本の芸能界の話題も似たものかもしれませんが、それでもたまに日本人がハリウッド映画に出たり、北野武がフランスで賞を取ったりしています。囲碁も人口知能(AI)のα碁が世界で話題になりましたし、超一流科学誌ネイチャーにのったAI研究論文の研究対象にもなりました。

将棋ははっきりいって、全然状況は違います。羽生善治永世7冠、谷川浩司永世名人、渡辺明2冠、藤井聡太7段がアメリカやフランスで(しかもチェスでなく将棋で)何か賞を取ることは考えられません。日本ではかなり有名な彼らの知名度は日本国外での日本人以外の世界ではゼロに近いといっていいでしょう。

私は一将棋ファンとして大変悔しく、残念に思います。

もし将棋の世界普及が実現したら、世界中で将棋関連の事業やイベントが行えるので、日本将棋連盟の収益が今とは桁違いになる可能性を秘めています。

うまくビジネス化したアメリカのメジャーリーグを見ると、スタープレイヤーの年俸も桁違いになりました。

賞金1億円越えが1年に1人いるかいないかという将棋界の現状と、これからの人口減少によりそのうち江戸時代なみの4000万くらいにまで縮小するという、日本の近未来の事実を直視すべきです。

いつぞや関西が誇る若手ホープの一人で元竜王の糸谷哲郎8段が、将棋は斜陽産業と言って物議をかもしましたが、現状はある意味あたっていると思います。

それでも、私が何かの折に海外普及について日本将棋連盟に問い合わせると決まって、「ご意見ありがとうございます。日本将棋連盟は将棋の世界普及に関心があって、世界での普及活動を行っています」との返事が返ってきます。

しかし将棋の世界普及は遅々として進んでいません。普及というのは定義が難しいですが、勝手に人口の1%が将棋を趣味としていることとしましょう。現実は全く1%には程遠いですが。もっとゆるく人口の0.1%と定義しても、まったく厳しいと思います。大ボストン・エリアの人口が300万として、0.1%といえば3000人で、ボストン・シンフォニー・ホールを埋め尽くしても入りきれません。現時点では非日本人の将棋指しはボストンで10人もいるでしょうか?

将棋の世界普及が困難な理由の一つとしてあげられるのが、漢字の駒であることは疑う余地がありません。想像してみてください。サンスクリット語で書かれた駒を使うインド将棋があったとして、いくら面白いからやってみろといわれても、それが日本に普及しますか?

漢字の駒に加えて、日本将棋連盟が考案したチェス駒の形状を真似た駒をウェブサイトで棋戦の観戦に使うべきだと思います(上の図は日本将棋連盟の公式サイトからお借りしました)。それと棋譜解説も日本語と英語の両方でやるべきです。

日本将棋連盟の公式ウェブサイトには自動翻訳機能もついていますが、英語がめちゃくちゃで意味不明なことが多いです。英語ができる人を将棋連盟の職員として優先的に採用すべきです。英語ができる職員がもしいるなら、自動翻訳がいかに酷いかすぐに分かるはずです。

なぜこんなことになっているかと考えますと、遠因として日本将棋連盟の棋士や職員の方の中に海外で生活した経験のある方がかなり少ないことが考えられます。将棋棋士だったら、子供のころから海外生活の経験が全くなくて当たり前ですね。

例外的にポーランド出身のカロリーナ・ステチェンスカ女流棋士がいますが、彼女は将棋の世界普及にとって、希望の星だと思います。この私のブログをぜひ読んでいただきたい。

日本における英語改革については前にシリーズで述べました。

英語教育1からのシリーズ

とにかく今のやり方では何十年たっても、世界普及はしないと思います。

日本将棋連盟に是非ともお願いです。将棋好きの米国人、英国人、あるいは英語がネイティブ言語である人(日本人も含む)を日本将棋連盟の職員として雇ってください。そして彼らの力を借りて、将棋の良さを世界に広めて下さい。

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