チャンスを掴む方法4(大一番での実力の発揮:私の場合)

まずは、勝負に臨む際の私の基本的な姿勢です。

私の場合、戦国時代などの実力がものを言う社会に興奮を覚えます。将棋が好きなのも同じ理由です。ですから、私は根っからの勝負好きと言ってもいいでしょう。また、あまり悩んだりくよくよしたりすることはなく、自分がこれをやりたいというビジョンがいつも比較的はっきりとしています。ですから、ここ一番!という勝負どころで自分の力を直球でぶつけることができたのだと思います。その際に失敗したらどうしようなどとくよくよ考えたりはしません。失敗したらそれを受け止めるだけです。勝負事は負けることもあります。また、集中力もあるほうだと思います。勝負所でゾーンに入ることができるのだと思われます。トップにいるスポーツ選手などもこういうタイプの人が多いと思います。

実は今回の記事を書くにあたって、普段からの努力は当然として、自分は何故ここぞというところで勝負を取り逃してこなかったのか。考えてみたのですが、実は自分では普通にしてきたつもりなのでよくわかりませんでした。そこで、周りの人に聞いてみたところ、自分の生まれ持った性格が大きく関係しているのではないかと思うに至りました。ですから、この点についてはあまり他の方には参考にならないかもしれません。

次に、勝負所を見極める嗅覚とピンチをチャンスに変える執着力です。

これについては以前の記事に書いた記憶があるのですが、運というのはその時点では明らかな運に見えないこともあります。私の場合は日本の医局を離れてアメリカでやっていくと決断したときと、ペンシルバニア大学でファカルティポジションのオファーをもらえず、履歴書を全米各地に送りハーバードでオファーをもらったときでしょう。その時は直感でただ全力でやるしかないと思っただけでした。

いずれも、日本やアメリカのエリートコースに乗って順調にやっている人たちから見れば、自ら先行き不透明な道に突き進むような事態でしたが、自分は何としてもやり切るという気概だけはありました。道が変わってきたときに少しでも諦めたり、全力を尽くしていなかったら今の自分はないと確信を持って言えます。

この点については、世間一般、特に日本ではある時点で惰性的になり、何かを諦めている方が多いと思いますので、少しは参考になるかもしれません。が、何かに挑戦するならばできれば若いうちにするに越したことはないでしょう。

最後に、勝負所ではあらゆる努力をやり尽くすことです。

私は普段から仕事の優先順位を決めて、重要な仕事には自分の力を重点的に配分していることは前述のとおりですが、それに加えて、大一番では考えられる限りのあらゆる努力をやり尽くします。

例えば、ペンシルバニア大学でファカルティのオファーをもらえなかったときは、全米50箇所弱の施設に履歴書を送り、その時点では公募していたとは気付かなかった仕事に私が合致して採用されるに至りました。ペンシルバニア大学での分子病理学の研修が役にたちました。もちろん、これには私がこれからの病理学の発展を考えたときに分子病理学が有望であることを予見して、分子病理学を研修分野として選んでいたという前提がありますが、もし、ペンシルバニア大学からファカルティポジションのオファーがなかった時点で諦めていたらどうでしょうか。人生が全く変わっていたのは言うまでもありません。

もちろん、こうした努力をしたところで運が掴めないこともあるでしょう。しかし、努力をしなければ巡ってこなかったチャンスもあるのです。ですから、失敗を恐れずに勝負どころで全力を尽くすという基本的な姿勢が大切です。また、大一番で全力を尽くすためには、普段から生活リズムを整え、ある程度の余力を持っていることも大切だと思います。

また、私にも勝負所と思って集中して勝負し、掴むに至らなかったチャンスというのはたくさんあります。それは、あとから振り返って考えたときには自分にとってはチャンスではなかったということです。そのことで一喜一憂せず、落ち込まず、また次の勝負では全力を尽くすという姿勢も大切です。

私もこれからさらなる高みを目指して、渡辺名人のように勝負強くなれることを目標に頑張っていきたいと思います。

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