科学のための科学

タンパク質名称の標準化プロジェクト 科学のための科学

タンパク質名称の標準化プロジェクト

先日の記事で述べたとおり、私が長年問題意識を持ちつづけていた、タンパク質を含む遺伝子産物の名称が乱立している大問題について、共同研究者とともに米国科学アカデミー紀要(PNAS)にオピニオンペーパーを発表することができました。 https://www.pnas.org/content/118/3/e2…
タンパク質名称の統一と標準化の必要性 科学のための科学

タンパク質名称の統一と標準化の必要性

今回は、私が以前から問題視していた生物医学分野の大問題について書きたいと思います。それは、遺伝子から作られる物質、特にタンパク質の命名のシステムが乱立していることです。科学者はみな自分の好きなタンパク質の名称を使っていて、命名に関するルールが未だに定まっていません。 同じタンパク質に複数の別の名前が…
若年性大腸癌についての総説 分子病理疫学(MPE)

若年性大腸癌についての総説

前回の記事でも述べた、若年性大腸癌についての総説が私の研究室からつい先日ネイチャー・レビュー(臨床癌科学)誌に発表されました。 https://www.nature.com/articles/s41571-020-00445-1 ちなみにこの雑誌のインパクトファクターは今年50を超えました。私はイン…
長期的な科学の発展のための投資 健康

長期的な科学の発展のための投資

最近大切な研究費申請の締め切りや論文投稿、改訂が重なり、しばらく更新が滞ってしまいました。 私が以前から繰り返し述べているように、現在の科学研究には短絡的な研究成果を追求せざるを得ない悪しき潮流が生まれています。 近年のアメリカでは、生物医学分野の研究予算が伸び悩む中で、博士号取得者が毎年参入して研…
首都直下地震 新型コロナウイルス

首都直下地震

最近、リモートワークが続いて朝晩の自転車通勤がなくなったため、運動不足解消のために室内バイクマシンを毎日漕いでいるのですが、その際によく過去のNHKの番組を見ています。その中に昨年12月頃に放送された首都直下地震のシリーズがありました。 昨年の12月といえば、水面下ではおそらく感染が広がりつつあった…
研究費獲得のためのセミナービジネス? 科学のための科学

研究費獲得のためのセミナービジネス?

久しぶりの更新になります。この1ヶ月はアメリカ全土でコロナ感染拡大が続いてきましたが、マサチューセッツ州では感染は落ち着いており、毎日の新規感染者は100-300人くらい、死者が10−20人くらいとなっています。これを「落ち着いている」というのは日本からすると驚きだとは思いますが。経済活動再開も3段…
コロナ後の社会変革への希望5(日本について③) 新型コロナウイルス

コロナ後の社会変革への希望5(日本について③)

ここまで日本の新型コロナウイルス対策について私の意見を述べましたが、なぜ日本では合理的でスピードのある対策が取られにくいのかということについて、私の考えていることを述べたいと思います。 少し突飛に聞こえるかもしれませんが、私は根本的な原因は日本社会の根底にある、中世以来の儒教的・封建的な価値観とそれ…
コロナ後の社会変革への希望4(日本について②) 健康

コロナ後の社会変革への希望4(日本について②)

例えばPCR検査についてです。PCR検査の精度に関して言えば、感度も特異度も100%ではありません。ですから、PCR検査の実施と活用法についてはしっかりと戦略を立てて行う必要があると私は思います。 発症からしばらくしたコロナ患者は時間が経つほどPCR検査の感度が低下し、偽陰性が増えます。一般的な検体…
コロナ後の社会変革への希望3(日本について①) 健康

コロナ後の社会変革への希望3(日本について①)

アメリカでも、ようやく新型コロナウイルスの統計が落ち着いてきました。マサチューセッツ州では、1日の死者数が50人を下回る日が続き、ようやく今週から経済活動再開の第2段階に入りました。しかし、ご存知の通り、アメリカでは比較的強力な経済封鎖を3月に始めてからここまで数ヶ月を要しています。 対して日本は、…
コロナ後の社会変革への希望1 健康

コロナ後の社会変革への希望1

今回の新型コロナウイルスの流行の長期化は必至で、まだ気が早いですが、コロナ後の世界の社会への展望について今まで考えてきたことを書いておきたいと思います。 今回の騒動は、近いうちに起こるはずだった種々の変化をより一層早めるきっかけとなったようです。例えばリモートワークやIT化の加速が良い例でしょう。ま…